「はじめに」

1962年9月に発足した日向青年会議所は、地域の皆様や行政、関係諸団体のご理解とご協力により、2022年9月に創立60周年を迎えることができました。人でなぞらえるならば60歳は還暦あるいは本卦還りと言われ、「出生時に帰る」「第二の人生の出発」というような意味合いを持ちますが、日向青年会議所にとって61年目となる2023年は、まさに第二の人生の第一歩に位置づけられます。これまで諸先輩方が積み重ねてきた60年間の活動・運動の歴史を礎としながらも、必要以上に過去に囚われることなく、すぐそこまでやってきている新しい時代を見据えたまっさらな一歩を踏み出すことをここに宣言します。

 

61年目、第二の人生の第一歩としての組織改革

創立60周年を迎えるにあたり、2023年から2027年までの5年間で目指すべき中期ビジョンを策定しました。この中期ビジョンは「ひゅうがまちづくりビジョン」「ひゅうがひとづくりビジョン」「ひゅうが組織づくりビジョン」の3つのビジョンから構成されていますが、まずは「まちづくり」や「ひとづくり」を推進するための基盤となるべき「組織づくり」に注力してまいります。

およそ誰もが新入会員のときに感じたであろう違和感は、青年会議所活動を続ければ続けるほど、また熱心になればなるほど消えていきます。しかし、この違和感にこそ組織改革の重要なヒントがあり、かつての青年経済人ではなく、現代を生きる青年経済人としての感性こそが次の時代に適合した組織づくりを促します。まずは、これまでの組織運営の在り方を疑いなく正しいと思い込むことをやめ、慣習やしきたりの意味をとらえ直し、再定義し、これからの時代をリードする組織然とした大胆な組織改革を行います。

 

理念共感型拡大の実行

全国的に青年会議所の会員数は減少傾向にありますが、日向青年会議所も例外ではありません。ピーク時にはおよそ60名いた会員が、ここ数年は10名前後で推移しており、さらにこの2年の間に現会員の半数以上が卒業を迎えます。青年会議所活動がどれだけ地域に貢献できるものであったとしても、最低限の人的資源がなければ満足な活動をすることはできません。このまま十分な会員拡大を成し得なければ、日向青年会議所は存続の危機を迎えることになります。

「数的拡大」から「理念共感型拡大」へのシフトチェンジが謳われていますが、いくら崇高な理念を掲げ、その理念を会員が理解していたとしても、具体的な会員拡大の動きを実行していかなければ成果を得ることはできません。現役会員の持つネットワークはもちろんのこと、青年会議所をよく知るシニアの方々や他の地域団体を巻き込みながら、理念共感型拡大を実行に移し、そして成果をあげます。

 

地域の青年経済人の主体性を育む事業

SDGsに代表されるように、「持続可能な」あるいは「サステナブル」という言葉が浸透し、地域社会やビジネスの話題には欠かせない形容詞となっています。ここで言う持続可能とは、「環境や社会、経済活動に対する長期的な影響を考えた責任を果たすこと」と言い換えることができます。それらを実現するのに必要なのは、環境や社会、そして経済活動への「主体的な行動」に他なりません。

「主体的な行動」を促す動機づけは「自分ごと」として捉えられるかどうかにかかっています。自分が住む地域にとって、自分が関わる子どもたちにとって、あるいは自分が携わるビジネスにとって必要な活動であればこそ、「自分ごと」として「主体的な行動」を起こすきっかけとなり得ます。

日向青年会議所では毎年様々な地域課題や社会課題に基づいた事業を構築していますが、それらを人数の限られた会員だけで行うのではなく、常に地域の青年経済人を巻き込む事業設計を心がけ、参加した誰もが自分ごととして主体的な行動を起こすきっかけとなるように努めることで、仲間を増やし、より大きな運動へと発展させていきます。

 

シニアとの柔軟な連携体制の構築

シニアの諸先輩方は、青年会議所が起こす運動が地域社会に還元されることを知っており、青年会議所という機能を維持・拡大することが地域の発展に欠かせないことを深く理解している方々であり、必然、現役会員の活動を支援したいと考えている方々が多くいらっしゃいます。一方で現在の日向青年会議所の活動に対して、まったくの無関心あるいは否定的に捉えているシニアの方々がいらっしゃることもまた事実です。

現在はこうした様々なスタンスを持つ先輩方をシニア会として一括りにした中で定期的な業務連絡を行うという程度にとどまっており、その連絡も形式ばったものとなっています。シニアの方々に協力を得ようとすれば、現役会員個人としての先輩方との関係性に頼らざるを得ない状況にあります。会員数の減少や所属歴の浅い会員の割合の多さが懸念される現状では、ますますシニアの方々の多方面でのお力添えが必要となるため、多様な諸先輩方との関係性を再構築し、現役会員の青年会議所活動を促進させるにふさわしい支援体制を整えます。

 

災害時の実働を担う備え

日向青年会議所は2016年に日向商工会議所青年部、日向木の芽会の青年3団体、そして日向市と防災協定を締結しました。以降、防災協定に基づき、HUG訓練や講習会など防災や減災について学ぶ機会を設けるとともに、連携方法の確認等を行ってきました。

さて、2022年9月に発生した台風14号は日向市内および近隣市町村に甚大な被害をもたらしました。私たち日向青年会議所では日向市社会福祉協議会からの要請で、会員有志が市内の被災地域での復旧作業に参加しました。また会員を通じて諸塚村社会福祉協議会からの要請もあり、地域を越えて復旧ボランティアに参加した会員もいます。

この事態に直面したとき、平時において防災・減災のための学びを深めることも大切ではあるものの、いざという時に実働を伴った支援ができるか、受けられるかがいかに重要かを痛感させられました。災害は起こるものだという前提に立ち返り、被害を最小限に抑えるための減災についての学びを継続し、実践するとともに、災害時において実働を担うことができる体制を整えます。

 

おわりに

私が愛してやまないキン肉マンは、戦いの中で友情を育み成長していく超人たちを描いた群像劇です。中でも最高傑作との呼び声の高い「完璧超人始祖(パーフェクトオリジン)編」では、正義超人、悪魔超人、完璧(パーフェクト)超人が三者三様のイデオロギーをぶつけ合います。超人界の成熟や環境の変化、価値観の多様化が進む現代の超人界にあって、太古の昔からの価値観を変えられなかった完璧超人たちが、自らの理想に向けて超人たちの粛清に乗り出したことで、現代を生きる超人たちは存亡の危機に立たされました。これに対し、これからの時代を切り拓いていくべき超人たちは、その属性を問わず、超人界の未来を我がこととして行く末を案じ、自らの信念をもとに身を投げうつ姿が描かれました。そしてキン肉マンたち正義超人は、イデオロギーの違う超人たちと、リング上での戦いという名の対話を通してわかり合い、尊重し合い、また新たな一歩を踏み出していくのです。

さて、彼ら超人たちはこの物語を通じて私たちに何を示唆しているのでしょうか。マンガの世界と現実を一緒にするなと切り捨てることもできるでしょう。しかし、よくよく現代社会を観察してみると、表出する形は違えど実に似通った状況に生きていることがわかります。

同じ超人という種でありながら、それぞれの思惑が複雑に交じり合って起こった不測の事態、価値観の違いや環境の変化が原因で起こる摩擦が世の中に大きな混乱もたらしている様は、まさに私たちが生きる現代社会そのものです。新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻など、ほんの数年前には予想だにしなかった事態が次々と起こっています。他にも異常気象、環境問題、経済格差、人口減少、少子高齢化など私たちが直面する社会問題は非常に複雑で、それを取り巻く環境も刻一刻と変化し続けています。不確実性の時代と言われる現代では、これまで常識だと思われていたことも曖昧になり、価値観が急激に変化し、多様化し、それらがぶつかり合って摩擦が起きています。

こうした不測の事態に対し、正義超人や悪魔超人のリーダーたちは自らの信念をもとに身を挺して立ち向かいました。青年会議所に所属する私たちは、彼らと同じように地域のリーダーとして率先して世の中の問題に身を挺してでも対峙しなければなりません。様々な価値観を持つ多様な人たちとともに、互いの価値観をぶつけ合い、対話によってわかり合うことを通じて、新しい時代に即した形の持続可能な社会を作り上げる必要があるのです。それは時として勇気のいることかもしれません。一朝一夕にはいかないことも多いと思います。しかし、思いやり、優しさ、愛情、そして信じる心を持ってすれば、必ずや明るい豊かな社会を築き上げることができるはずです。友情パワーで乗り越えていきましょう。

 

スローガン

へのつっぱりはいらんですよ

テーマ

~困難に立ち向かう勇気~